もうエりさん用誕生日プレゼントssなのですよー。前:---------------------セールストークだ。これは全部。彼女は、僕が彼女を、つまり優菜を失ったことによる痛みを消しさる方法を提供できるという。彼女いわく、僕が彼女を、つまり優菜を喪ったことによる痛みを消しさる方法は二通りあるのだという。一つ目の、そして一般的な方法は単純だ。時と共にそれが癒えるのを待つ。普通、人間はこの方法を選ぶ。けれども全ての人間が忘却のための年月そして、彼女はなおも言う。自分を殺さずに、また月日の経つのを待つことなくその痛みから逃れる方法があるのだと。彼女はそう言った上で、僕にその方法を知りたいか、とそう訊ねる。セールストークだ。何故なら僕は、それを聞いたらそれを選ばずにはおれなくなる。セールストークだ。何故なら僕の救いは二通り目の方法を知ることを求めた瞬間から始まってしまう。人間の心は弱い。弱さを退けるためには、弱さに至る選択肢それ自体をはじめから除外してしまわなければならない。だからこそ、僕はこの段階で拒まなければならない。何故なら僕は、彼女の提案する二通り目の方法など、彼女に言われるまでもなく、知ってしまっているからだ。時を待たずに傷を癒す方法なんて一つしかないから。そしてそれは、言葉にするにはあまりにも非現実じみているせいで、だからこそ僕は逆に、彼女によってなされるであろうその提案を拒むことはできないのだろう。そんなのは嫌だ。だから、僕は拒む。「知りたくないね」すると彼女は、「そう、残念」とそう言って、腰かけたベンチに置かれた袋から、なにやら奇妙な形をしたものを取り出した。「これは、私の質問に、二度イエスと答えた人間が私に寄越すことになったものどもを詰めた袋だ」彼女は、その袋を手の中で振る。じゃか、と小石が擦れ合う音がする。「石?」と僕は聞く。彼女は僕の質問に答える代わりに、袋の口に手を突っ込んで中からひとつの小石のようなものを取り出す。じゃか、と擦れ合う音を聞いたときからなんとなく想像できたように、その石はぴかぴかに光り輝いていて、僕が今までみたことのあるどんな宝石よりも綺麗だ。「これは」と彼女がいう。「アフリカのとある国で、五人の盗賊に一晩中乱暴された十五歳の少女のその時の記憶」そう言って、彼女はその石をベンチの上に置く。「そしてこれは」と彼女は二個目の石を取り出す。その石は僕が今まで見たことのあるどんな暗闇よりも暗くてまるでそこだけ空間に穴が開いたようにもみえるのだけれども、けれどもやはり、とても美しい石だ。「そしてこれは、戦争に参加したイギリスのある貴族が息子と同じくらいの年齢の少年を撃ち殺した時の記憶」そういって彼女は、その石を、ベンチの上の石の隣に置く。「そしてこれは」と彼女は三個目の石を取り出す。その石は隕石のようにでこぼこで、奇妙な空洞がたくさん空いているのだけれども、見ているだけで大自然の荒々しさを思わずにいられないような懐かしい気分になってくる石だ。彼女は言う。「そしてこれは、ある日の朝、家と、愛犬と、三十年間手入れし続けた愛車を放火によって失った、生涯を独身ですごしたある老人のその日の朝の記憶」彼女は三個目の石を、それまでの二つと同様にベンチの上に並べる。そして、彼女が言う。「戦闘が始まったら、お前は動かないでその場にじっとしていて。そうすれば狙われずに済む」何に?と僕が聞き返す前に、彼女は三つの石を左手で無造作に引っつかみ、薄く握った手の中で転がす。それと同時に、公園の向こうの端に、ロバのような、浮浪者のような、犬のような、荷馬車のような、いや、そういった印象を全てひっくるめた上に夜から切り出してきた薄暗闇を無造作に貼り付けたような、何とも形容しがたい生き物が、音を立てずにゆっくりとこちらへと向かって歩いてくる。彼女はひだその生き物を睨みつける。左手の石をひとつ空中に舞わせた後、それを右手で掴み取る。黒い石だ。右手の親指を右手の人差し指に引っ掛けて、その親指の爪に黒い石をのせた後に弾く。弾かれた石は、二十メートルほども飛んで、藪の中に入る。すると生き物がその藪めがけて進路を変える。彼女はその生き物をずっと見ている。黒い生き物は藪に到達し、触手のような腕を、あるいは腕のような触手を藪の中に伸ばす。ほんの二秒後、その生き物は腕の先に彼女が投げた石を捕まえていて、そして、生き物が被る薄闇は、石の黒さに引きづられてその黒さを増す。彼女は二個目の石を空中に舞わせた後右手で受け取り、人差し指に引っ掛けた親指の爪の上にその石をのせる。ぴかぴかと光る石だ。彼女は一投目と同じようにその石を爪はじくと、石は一直線に生き物の手前まで飛んでいく。生き物は触手のような、あるいは腕のような突起を伸ばして石を拾う。その、どんな宝石よりもぴかぴかと輝く石を拾った瞬間生き物の薄暗闇はひびが入り、砕け、四散し、生き物は身体をくねらせて聞いたことの無い波長で悲鳴を上げる。僕はその生き物の動きに圧倒されて体をのけぞらせる。その途端、生き物の動きが止まり、生き物の身体から突き出た突起、その時何故か僕にはそれがその生き物のいくつかある眼のひとつであると言うことを確信できたその突起を僕に向け、ると同時に、その生き物は二十メートルの距離を一瞬で縮めて僕の目の前にいた。生き物の身体のなめくじのような皮膚には茶色い筋がいたるところに通っており、そしてその表面は、ねばついた粘膜で覆われている。生き物が放つ何かの成分に引き寄せられた無数の蝿が粘膜に取り込まれて体の自由を奪われ、養分を吸い取られた死骸となって生き物の皮膚の上で縮こまっている。生き物が、呼吸のような事をするたびにその表面が波みたいに揺れる。生き物は、触手のようであり、腕のようでもある、しかし本当のところは先端に刃渡り十センチほどのナイフが七十本も埋め込まれたような外見の消化器官を僕の体に伸ばす。隣で彼女が三つ目、最後の石を宙に舞わせ、その石を右手で受け取って人差し指に引っ掛けた親指の爪に乗せる動作が見える。僕の目の前の空間を生き物の消化器官が斜めに横切った時、彼女が投げた石は生き物に命中する。生き物は爆発して、形容しがたい色と形をした内蔵や、蝿の死骸をいたるところにこびりつけた薄気味悪い皮膚の断片をあたり一面に吹き散らかす。それらは当然僕の体にも降りかかるから、僕は直ちにパニックに陥って服にこびり付いた生き物の死体を叩き落とそうとする。けれどもその死体は、触れると同時、とろけたようにぐずぐずになり、やがて空間に溶け込んだみたいに煙となって消え去る。そして、二十秒も経てば、あたり一面には先ほどまでそこにあの生き物がいた痕跡は綺麗さっぱり消失してしまっている。「片付いたわ」と、僕の隣で彼女が言う。彼女は一見冷静に見えるけれども、けれども彼女は右手で自分のズボンのポケットのあたりを神経質にもてあそんでいる。それは彼女が感情的に昂ぶった時の合図で、そんなときの彼女の表情は、たいてい、形容できないくらい絶妙で、可愛い。僕は彼女に言う。「さっきのあれ、なんだよ」彼女は僕の事を見つめてから、言う。「虫。人を食べる。魂を」僕は彼女に聞く。「さっきの石はなんだよ」彼女は言う。「魂の欠片。悲しみの欠片。それさえなければ楽しい人生を送る事のできるような辛い記憶の欠片」僕は彼女に聞く。「そんなもの、どうやって」彼女は言う。「まず私が一つ目の質問をする。その質問に対してイエスと答えた人間に、私は二つ目の質問をする。その質問に対してイエスと答えた人間と私は契約をして、その結果、その人間は辛い記憶を、悲しい記憶を、忘れ去ってしまいたい記憶を失い私は虫を殺す武器を得る」気がつけば、僕は泣いている。何故ならば、目の前の彼女が一体誰であるかということを僕はもう知ってしてしまっているからだ。「……優菜?」と僕は言う。僕の幼馴染。死んだはずの僕の恋人。優菜、優菜、優菜。お前、死んだくせにこんなとこで何やってるんだ、とか、お前ってまだホットケーキ好きなの?久しぶりに会ったっていうのになんで挨拶もしてくれないんだよ、とか、お前ってやっぱり可愛いな、とか、どうでもいい、けれども決してどうでもよくない言葉や言葉や言葉がぐるぐると頭の中で回って、回って、回って。結局、「お前、なんでこんなところにいるんだよ」と僕は聞く。優菜はばつの悪そうな顔をして、伏目がちに唇を緩く噛んでいる。しばらくの沈黙の後に、彼女は言う。「私だって気付くのが遅いんだよ、馬鹿」僕は言う。「お前、なんで……」そしてまた、しばらくの沈黙の後に、彼女は言う。「私、死んじゃったでしょ?だから、君、その事でずっと苦しんでるんじゃないかって、私の思い出を引きずったまま、残りの人生駄目にしちゃうんじゃないかって、私のせいでそんな事になるのは嫌だから、君にはずっと幸せでいて欲しいから、だからね、私、君に言ったでしょ?時によって癒される以外に辛い記憶を忘却する方法があるって。それを君に提供できるって。私、そう言ったでしょ?あのね、その方法って言うのはね、楽しかった時間を忘れてしまうことなの。かつて当たり前だった嬉しみや喜びを忘れてしまえば、喪失の悲しみ自体が無効になる。私、君が、辛いものを心に抱えたまま、あんなに愉快で無邪気だった君が、悲しみに沈んで一言も喋らなくなってしまうのが嫌だったから、だから君が昔みたいに笑えるようになるのなら、私の記憶が君の心を縛り付けているのなら、君の心の中から私の存在ごと私の死を消してしまえるのならって――」――彼女の身体は記憶にある以上に小柄だった。それは、彼女が死んだ一年ほどの間に僕自身の体が成長したという事なのかもしれないけど。けれども記憶と違うのはそれだけ。彼女の身体はやっぱり華奢で、柔らかくて、僕の腕にすっぽりと収まるサイズで。彼女を喪った時、一緒にどこかに行ってしまった左腕なんてなくても、右手一本で彼女をすっぽり抱きかかえる事ができる。強引に引き寄せた時、一瞬だけ緊張でこわばった彼女の身体はすぐにすっかり脱力し、僕の体にそってぴったりと密着する。僕は彼女に言う。「愛してるから。愛してるから。お前が死んでたって関係ない。居なくなったって別に気にしない。僕はそんなの問題無いくらいお前の事愛してるから。僕、たぶんそのうち何事も無かったようにけろっと立ち直ってさ、それでそのまま大人になってさ、この先お前以外の誰かを愛してさ、そしてその後でその誰かと結婚するだろうし、そしたらその人との間に子供生まれると思うし、そしたらお前は僕がお前の事忘れちゃうって思うかもしれないけどそれでもきっと、僕はお前の事愛してるから。そんなの変かもしれないって思うかもしれないし、そんなの浮気じゃないかって思うかもしれないけど、けどやっぱり僕は、人間は、だれかを愛しながら別の誰かを愛することができるんじゃないかって思う。だから僕はずっとお前の事愛してるし、だから優菜、僕にお前の事忘れろなんて言うなよ。そんなの絶対嫌だから。お前は死んでるかもしれないけど、僕の心の中にはお前の為だけの部屋があって、だから僕はずっとお前の事想ってるしお前の事は忘れない。だからさ、優菜。僕がお前の記憶を消すことを望んでるなんて馬鹿なこともう言うなよ。僕、お前の事愛してるから。お前がいなければ今の僕なんかきっと僕じゃないし、だからさ優菜、次そういうこと言ったら僕、お前の事本当に怒るぞ」優菜はぼんやりした口調で、「……うん」と言う。「お前の事、今までずっと好きだったから。これからもずっと好きだから」「……うん」「……愛してるから」「……うん」腕の力を抜いて彼女の身体を離す。優菜の柔らかい頬を親指で優しくなでる。優菜は眼を閉じる。僕は、ほんの少ししゃがんで目を瞑り、彼女の唇に口づけする。彼女の唇は、温かくて、柔らかくて、そしてほんの少しくすぐったい。唇を離して眼を開けるとそこにはもう夕菜は居なくて、僕は脱力したようにベンチに座って一時間ほど考え事をした後、家までの距離を歩いて帰った。帰宅した後、汗を流すために浴びたシャワーは程よく熱くて、僕は身体に湯を受けながら、ついさっき経験したばかりのファーストキスについて考え続けていた。〈了〉
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いやその前にライバル出現((ry←いや整理しようか。昨日夜にニコうpしようと思ったんです。久々に。mixしていただいたものがあったんで。待ってた訳ですよ。親にパソ電源切られた。orz親はニコニコ好きくないっぽいな。せっかく待ってたのにエンコード。そしてまたな ぐ ら れ たアタシどんまい。泣いたって仕方ないじゃないか。現実だもの。さて、ちなみに上とは別に歌ってみたんですが、喉終了のお知らせでした。とりまひとつはmix依頼してオッケーもらってきたんでまたいつか。そしてアタシコゲ犬さんのこと好きなんです。ライクじゃないですLOVEです。そうゆう好きです。また戻ってきてしまいました。コゲ犬さんごめんなさい、アタシ自重。←それにあんだけファンがいれば僕みたいな人もいるだろうなぁ。知っているはずなのに。アタシは何ももっていないから自信なんてないんですよなんでコゲ犬さん歌い手なんだぁああなーんて思ったりもしたバカがここにいますよっと←逝ってこいコゲ犬さんへの手紙に綴った内容が届いていればいいなぁ。アタシは何ももっていないけど四六時中コゲ犬さんを想うことだけしかできないけれどその気持ちは誰にも負けないものちなみにライバルと勝手にいってますが仲良くしてやってくだしあ(´;ω;`)←さて、仕事いってきます帰ったら即刻コゲ犬さんの新作聴くんだから(´;ω;`)明日は泊まりだから…また持っていくもん><。地獄にあの歌声を絶やすことはありません。tkコゲ犬さん恋愛とか今しないって思ってるらしいから勝手にアタシが騒いでるだけなんだがな。アタシ乙。後、僕が仕事中に誰か僕のコゲ犬にエサとせっけんを><。←ペットの話ですが何か?←コゲ犬さんみたいで可愛いんだからあのこ。たーえんよろしくwww←